□キハユニ16の前身(キハ44100について)
キハ44100は1956(昭和31)年からキハ44000形と同じくディーゼル機関がDMH17A、主発電機はDM42、主電動機はMT45、駆動方式は直角カルダン駆動方式に改造された電気式ディーゼル動車として登場しました。車体は前面は非貫通2枚窓の湘南顔です。キハ44000形キハ44004以降の増備車に準じて、側面は片側2扉で、気動車として初の自動ドアを設置しました。ドア幅は1,000
mm、引き戸の開閉は中央方向です。ドアエンジンの設置により赤色の車側表示灯が設置されました。定員は120人(座席84人)。
□キハユニ16の改造
1953(昭和28)年の同時期に開発していた液体式ディーゼル動車キハ44500形の登場により、「製造費用、重量、保守費、取り扱いのすべての面で液体式駆動の車輌の方が勝ると評され」ました。そこで1956年から翌年にかけてキハ44100形は電気式駆動方式から液体式駆動方式に改造が施されました。エンジンはDMH17AからDMH17Bとなり、主電動機と主発電機は撤去され、液体変速機が増設されました。まず客扉が2扉となったため機関吊り位置の変更により台枠と点検蓋の移設が行われ、床下機器配置が見直され、エンジンは車体中央部に搭載されました。ブレーキは自動空気ブレーキです。
更にキハ44100形の全車が郵便荷物車キハユニ44100形への改造が同時に行われました。
□郵便荷物車化改造(改造内容)
1956(昭和31)年10月から翌年3月にかけてキハ44100~109を小倉、大宮工場で再改造されて、1957年4月1日の形式称号改正で4両がキユニ16 1~10になりました。キハユニ44100~109は3等郵便荷物車への改造に併せて液体化改造を実施し、番号は変わりませんが、番号順にキハユニ16 1~10となりました。1964(昭和39)年度と1970年度の2期に分けてキユニ16形へ4両、キハユニ16形600番台に1両が再改造されています。
□キハユニ16形600番
キハユニ16 4を種車として1970年8月に鹿児島工場で郵便荷物室後部引き戸扉増設と客室部分にアコーディオンカーテン設置の改造を受け、キハユニ16
601となりました。配置は鹿児島 志布志区に最後まで運用に当たりました。車内は乗務員室寄りが郵便荷物室となり、後ろに郵便区分棚、押印台(1~3位側)が設置されました。郵便荷物室の荷重は3t、郵袋数は200個です。郵便室側の窓は1箇所が塞がれ、もう1箇所は幅1000mmから幅700
mmに縮小されました。 客室部分への扉増設と郵便荷物室の拡大が行われ、従来郵便区分棚があった箇所は窓が新設され、元客室の郵便室部分は側窓下段の上昇窓が塞がれました。1971年11月には客室部分へ更に引き戸を増設して郵便室と荷物室を拡大しました。この結果、室内配置は前位から乗務員室、荷物室、郵便室、客室となり、元郵便区分棚部分には側窓を新設し、元客室部分の側窓2個は上昇式側窓の部分を塞ぎました。尚、増設した引き戸横の手スリは、荷物室と郵便室間に設置されたもののみ取り付けています。(「鉄道ピクトリアル2024・7月号別冊」平石大貴著)