クモヤ740-1は旧形電車モハ72形を種車に改造した交流20000V専用の入換兼牽引車(職用車)です。1969~1970(昭和44~45)年に郡山工で一般形の0番代
2両、寒地向けの50番代 3両、合計5両が改造されました。改造当初はクモヤ792形式と称しました。車体側面は種車モハ72形の4扉や3段窓を残したものとなっていますが、両端に貫通タイプの運転台が増設されていてクモヤ90801と同形態です。塗装は赤2号で前部にはクリーム4号の警戒帯が入れられていますので、印象が異なります。また交直対応の機器を設置したために、一部の窓を塞いでのルーバー取付、中2つの扉の固定化、機器室部分の屋根は鋼板化した低屋根形に改造されており、車内に高圧機器(空気しゃ断器、主変圧器、整流装置)が収容されているため
屋上に機器搬入出用の開閉式蓋がついています。
なお交流専用となっていますが、直流区間でも制御車として走行することが出来、また高速走行時も制御車として使用可能です。暖地向けは南福岡区へ、寒冷地向け50番台は青森所へと配属されましが-53は南福岡区へ転属しました。 1, 51は国鉄民営化前に廃車。2, 53は九州旅客鉄道(JR九州)に、52はJR東日本にそれぞれ承継されました。東日本の52は2001年に廃車。九州では53は2005年に廃車、最後まで残った2も2008年12月24日付で廃車され、形式消滅しました。
なお蛇足ですが、1970年に製作されたクモヤ740-53は、クモヤ792形を経ずに直接クモヤ740形となっています。
番号の新旧対照は次のとおりです。
クモヤ740-1 ← クモヤ792-1 ← モハ72105 ← モハ63367
クモヤ740-2 ← クモヤ792-2 ← モハ72280 ← モハ63596
クモヤ740-51 ← クモヤ792-51 ← モハ72133 ← モハ63603
クモヤ740-52 ← クモヤ792-52 ← モハ72089 ← モハ63269
クモヤ740-53 ← モハ72161 ← モハ63365