(1)クモハ123-6の歴史(1987年~1994年頃)
クモハ123は 1986年11月1日ダイヤ改正で鉄道手荷物・郵便輸送が廃止されたことに伴い、余剰になった荷物電車などを活用し、利用者の少ない電化ローカル線向けに改造して導入したのが本形式です。両運転台が装備された単行電車で、国鉄の新性能単行旅客輸送用電車です。形式はクモハ123形のみが存在します。1987年(昭和62年)3月30日に阪和線羽衣支線(羽衣線)向けとしたクモハ123-6はクモニ143-8の改造車として改造が始まりました。 前面は貫通扉があり原型のままです。旅客車化にあたり、車体側面は側引戸(1300mm幅両開き戸・片側面2基)は変則的な配置は否めません。側窓(201系と同じ二段ユニット窓×片側面3個)の新設を伴う大きな改造が施工され、車内はロングシート構成の座席、荷棚、つり手棒とつり革、車内放送装置、室内灯などが新設し、郵便荷物車時代のトイレの撤去、ワンマン運転を考慮して、乗務員室と客室間の仕切扉は腰高タイプのオープン仕様となっています。 大阪地区 に配置予定の5・6の改造工場は 吹田工場。収容定員は122人(座席49人) 。集電装置 は改造時に第1パンタグラフを撤去しPS16J形×1基。 電動発電機 定格容量70 kVA (冷房電源対応), AU75E×1基搭載。.車両重量 48.0t 。と言う車輌諸元を持っています。出力駆動系はクモハ123-1~6はクモニ143形と同様で、力行28段(直列11段・並列13段・弱め界磁4段)、発電ブレーキ20段構成のCS44形電動カム軸式主制御器を使用し、主電動機の直並列抵抗制御、弱め界磁制御を行う。主電動機は100 kW出力のMT57A形、台車は両抱き式踏面ブレーキのDT21形を使用する。熱線吸収ガラスの採用によりカーテンが省略されています。クモハ123-5,6のMGは485系などの食堂車の廃車発生品を再利用し,ラッシュ時は103系の制御車クハ103-194を併結した3両編成という特異な運用をするため、ジャンパ連結器は103系に合わせたものに交換され、クハに冷房電源の三相交流を供給するためのジャンパ連結器も設けられています。日中は単行または2両で運行されました。西日本地区(JR西日本)には、クモハ123-2 - 6の5両が継承されました。 阪和線羽衣支線(羽衣線) 阪和線のうち鳳駅 - 東羽衣駅間の羽衣支線(羽衣線)では1987年にクモハ123-5・6が投入されました。1987年3月の改造後は日根野電車区に長期留置されていましたが、同年6月11日に鳳電車区に回送され、乗務員訓練後の7月1日から営業運転を開始しました。1989年にワンマン運転設備を追設しています。塗装は阪和線の103系に合わせた青22号だが、運転台部分は黒く塗られています。
(2)クモハ123-6の歴史(1995年~)
1995年より宇野線へ転用、2003年以降は側扉を移設の上で宇部線・小野田線で使用されています。一部の座席は、119系の両運転台化改造車からの発生品が流用された。宇部線・小野田線に転用されたクモハ123-5・6は2002年に扉位置を移設する改造を受けた為に外観が大きく変わました。ただし、車内のつり革の配置は変わっておらず、元々ドアが設置されていたところにあたるつり革はやや高い位置に設置されていますのでつり革を見れば移設前のドアの位置がわかります。1995年に2両とも岡山地区の宇野線に転用し、羽衣支線は終日103系での運用となりました。 岡山地区 宇野線の茶屋町 - 宇野間で運用されるクモハ84形を置き換えるため、1995年(平成7年)6月に羽衣線用のクモハ123-5・6が岡山電車区に転属しました。塗装は地色はそのままですが運転台部分の黒い部分がなくなり、カモメが描かれていました。宇野線のワンマン化により2001年(平成13年)に福塩線へ転用され、105系と混用されることになりました。105系用のジャンパ連結器を追設し、福塩線・山陽本線岡山 - 福山間・赤穂線で105系2両と併結の4両編成で使用されました。 ドアの半自動機能を2002年にドアボタンを設置する改造が行われました。2002年(平成14年)には宇部線・小野田線用として貸し出され、クモハ123-5・6が岡山地区から転用、2003年(平成15年)に同線へ転属し、下関地域鉄道部(現:下関総合車両所運用検修センター)に転属してクモハ42形を置き換えました。その際に2010年(平成22年)にクモハ123-4を皮切りに濃黄色一色への塗装変更が開始され、2015年(平成27年)8月のクモハ123-6を最後に全車の塗装変更が完了しました。トイレ設置改造 もこの間で2013年(平成25年)からキハ120形気動車とほぼ同一構造のトイレが設置され、2014年に全車両の取り付けが完了しました。 主な運用は小野田線や宇部線(閑散時のみ)での単独運用ですが、ラッシュ時は105系に併結されて宇部線の山陽本線直通列車(宇部駅 - 下関駅間)などでも運用されています。